カンボジア首都プノンペン視察で感じたこと
みなさん、こんにちは!
あっという間に7月にはいりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
6月の下旬から東南アジア、カンボジアに視察に行ってきました。
今日はカンボジア視察で感じたことを書いてみたいと思います。
1.カンボジアとはどんな国か?
2.なぜカンボジアに行くことになったのか?
3.現地の様子
4.フラワーマーケット視察
5.現地の花屋視察
6.カンボジア視察で感じたこと
7.これからフローリストを目指す皆さんへ
1.カンボジアとはどんな国か?
みなさん、カンボジアという国に対してどのようなイメージがありますか?
「カンボジア王国」は、東南アジアのインドシナ半島南部に位置し、立憲君主制国家です。日本から南西に4,233Kmほど離れたベトナム・ラオス・タイの国境を持ち、面積は日本の半分弱、約18.1万平方キロメートルです。23の州と1つの特別市に分かれ、人口は約1,720万人(2022年現在)に及びます。国民の平均年齢は25歳と若年層の年齢が圧倒的に多い国です。日本から約8時間程度で渡航することができます。
近年では「タイプラスワン」「ベトナムプラスワン」の候補先として注目を集めています。
渡航には査証(ビザ)が必要です。ビザは日本のカンボジア大使館で申請し、事前に取得することもできますし、現地空港でとることもできます。また、現在はオンライン申請による方法もあるようです。
私は東京の赤坂にあるカンボジア大使館で取得することにしました。
申請してビザが発行されるまで、3日程度ですぐに発行していただきました。
観光で渡航する場合にも査証(ビザ)が必要なため、東南アジアの中でも渡航には少しハードルを感じる方も多いかもしれません。
カンボジアは過去20年間、縫製品等の堅調な輸出、建設業、サービス業及び海外直接投資の順調な増加により、年率約7パーセントと安定した経済成長を続けています。
また、政府による積極的な外資誘致の結果、2021年の海外直接投資(FDI)の認可総額は前年比11.2%増の410億米ドル(約5兆2,390億円)にのぼり、10年前の約50倍となりました。外資規制が存在せず、多様な分野に自由に投資することができ、また、投資推奨政策として一定の条件を満たす投資プロジェクトに対してQIP (投資適格プロジェクト)という承認を与えています。
近年カンボジアへ進出する日本企業も増加しています。
今回私は、カンボジアの首都プノンペンに訪問しました。プノンペンはカンボジアの首都として、政治、経済、産業、文化、教育、観光の中心都市として今なお発展を続けています。カンボジアの人口の多くがプノンペンに集中しており、約220万人の人々が暮らしています。
2.なぜカンボジアに行くことになったのか?
今回なぜカンボジアに視察に行くことになったか、その経緯を簡単にお話します。
2020年、私は日本文化を世界に伝えたいという思いから、世界1億ダウンロード、ライブ配信アプリBIGOLIVEでオフィシャルライバーとして活動していました。
その際に、日本文化海外普及協会という協会をご紹介いただき、協会の新年会に参加させていただきました。参加者は各自自己紹介をさせていただく機会があり、その際にプロライバーである旨、花屋の経営者であるということをお伝えしたところ、カンボジアへの進出支援を行っている会社の社長様とお名刺交換をさせていただきました。
全てはこの日本文化海外普及協会に参加したことからスタートしたといっても過言ではありません。
その際、社長様より「あかねさん、ぜひ一度カンボジアに行ってみませんか?」とお声掛けいただいたのです。その当時の印象としては、「カンボジア?進出支援?日本での事業展開でも手一杯なのに、アジア進出…?おもしろそうだから一度行ってみようか?」という感じでした。
その後すぐにコロナ禍となり、渡航するチャンスを逃していましたが、日本で着々と準備は進めていました。
カンボジアに関する情報リサーチや日本にて前出の社長様とミーティングを重ねていたところ、株式会社GCCジャパンのアグネス社長と池副社長様をご紹介いただくことになったのです。
https://www.gccjapan.co.jp
株式会社GCCジャパンはカンボジアを本拠地とするグローバル企業を創出し、事業を通じてカンボジアへ国際資本を誘致すると共に、持続可能な豊かな社会づくりに貢献する企業です。
ご紹介いただいた際に、カンボジア政府認定プロジェクトCM2H(カンボジアマイセカンドホームプロジェクト)のお披露目会を日本で行うのですが、MCをお願いできませんか?というオファーがありました。
あいにく、私はMCの経験はないので、プロのMCをお願いしたほうがよいという打診をし、MCの代わりに当日の司会進行用の原稿を書くことにしました。
そして、お祝いの席に花を添えたいという思いから、アグネス社長に弊社からスタンド花をプレゼントすることにしたのです。
セルリアンタワーで行われたCM2H公式発表会にも参加させていただき、プロジェクト発表会のお席でもカンボジアの魅力をたくさん学ぶことができました。
アグネス社長との出会いにより、どのような形でビジネス展開ができるかわからないけれど、とりあえず一度現地視察をしてみようと決めたのです。
そして、今年アグネス社長のサポートのもと、カンボジアへの渡航が叶いました。
事前にどのような場所を視察したいかオファーをしていたので、たくさんのリサーチをしてくださり、スムーズに視察を進めることができたのです。実際に私が体験した内容を書き出してみますね!
1日目
1.ミーティング
2.会食
3.スケジュール確認及びミーティング
2日目
1.GCオルセーマーケットの着工式に出席
2.外貨両替
3.SIMカードの購入
4.花市場の視察
5.市内花屋の視察
6.証券及び銀行口座開設
7.資材売り場の視察
8.フラワーアレンジメントの制作
9.会食
3日目
1.結婚式場視察
2.不動産視察
3.現地人気スポットの視察
4.帰国
滞在期間2日間で15個全てのタスクが円滑に進んだのも、アグネス社長をはじめGCCジャパンスタッフの皆様、現地スタッフの皆様のサポートのおかげでした。
3.現地の様子
カンボジアに渡航する前から、現地の情報は少しづつ把握していたのですが、実際に渡航してみると驚きの連続でした。
渡航前、前出の社長様には「カンボジアは発展著しく高級車がたくさん走っていますよ、高層ビルもたくさん建設されています」、「お食事も美味しいです」とお話は伺っていたので、あまりネガティブなイメージはありませんでした。
しかし、一方でカンボジアにいったことがあるという方々には「あまり綺麗ではないよ?」「治安がいいとは言えないから気をつけてね」などとネガティブな話をたくさん聞かされましたね。
実際はどちらが正解だと思いますか?
もちろんまだ治安のあまり良くないエリアや再開発中のエリア、未開発のエリアもあることは事実です。しかし、プノンペンの中心地とその界隈は発展目覚しく、非常に開発が進んでいるという印象でした。道路は舗装され、高層ビルが立ち並び、高級車がたくさん走っていたのです。
リバーサイドも綺麗に整備されていて、日がくれるとたくさんの人々が散歩にでかけていました。
私は今回4つ星ホテルのエミオンホテルに滞在しましたが、ホテル自体も綺麗で広々としており、バスタブ付きの部屋やホテルのプールバーなど、設備も完備され、ホテル界隈の街並みはネオンが輝き綺麗な街並みが広がっていました。
こうして、驚きの連続とともにカンボジア滞在1日目が幕を閉じました。
2日目はGCCが建設するGCオルセーマーケットの着工式に参加させていただきました。
GCオルセーマーケットはプノンペン国際空港からのアクセスもよく、2024年頃大型のマーケットが建設される予定になっています。こちらのマーケットはカンボジアのみなさんの生活の一部として機能するマーケットになるようです。
GCオルセーマーケットの着工式ではクメール式の式典に参加させていただきました。この式典はマーケットの建設が滞りなく無事に行われることを祈願してとり行われたようです。式典に参加することでクメール文化を体感することもできました。
式典には仏様にお供えする祭壇が用意されているのですが、祭壇にあしらわれている花のアレンジ技術が見事でした。花のアレンジメントはどれをみても手先の器用さが窺える、とても精巧な出来で、日本人フローリストでもここまで細やかに美しく作業できるようになるには、ある一定の年月を要するものでした。着工式の装飾をみても、精巧さと細やかさ繊細な感性を持ち合わせていることが伺えました。
4.フラワーマーケットの視察
そして、着工式の出席のあと、現地の花屋さん(日本で言う仲卸市場のようなマーケット街)に出向きました。フラワーマーケットに並んでいた花々は主に、バラ、スプレーマム 、マム 、ユリ、ロータス(ホワイト・ピンク2色)、デンファレ、トルコキキョウ、ガーベラ、カーネーション、チューベローズのような花(実際の品種不明)、ユーカリ 、アレカヤシという品揃えでした。
花の種類そのものは少ないものの、マーケットに並んでいる花の一つ一つは灼熱の太陽のもとでとても力強く、どの花も咲き誇っているようにみえました。
特に、デンファレとロータスの美しさといったら一際目をひきましたね。日本ではロータスはお盆の時期のみ、蕾の状態で市場に出荷され、店頭で綺麗に咲かせることは難しい花材です。カンボジアのロータスはどれも花が蕾の状態から綻んでおり、花咲くことが予想できるものでした。
また、デンファレは花の1輪1輪がとても大きく色も鮮やかでした。日本でもタイや台湾からの輸入したデンファレは入手することができますが、花の大きさや新鮮さが全く異なっていたのが印象的でしたね。
そして花屋の軒先では女性スタッフたちがアレンジメントを制作していたのですが、その技術は申し分のないものでした。日本での評価基準ですと、生花業界10年程度のベテランクラスでもここまで細やかに美しく配列が組めるかと言ったら難しいなという印象でした。
アグネス社長から「カンボジアの方々は単純作業がとても得意で、1つのことに集中して取り組むことができるのです。」と教えていただきました。
こうした国民性も相まってフラワーアレンジメントの基礎技術においては高い技術力が確立されているのだなと感じました。
フラワーデザインに関しては、花材の種類が少ないこと、ある一定のパターンの中でデザインされていること、グリーンの使い方がまだ認知されていない印象でした。
日本は世界からみると美しい草花に溢れている国なのです。日本のフローリストは四季折々の花材をふんだんに用いてフラワーデザインを作ることができますが、カンボジアの限られた花材の中ではまだ難しいようです。
この点は今後の技術指導ににより改善の余地があるのではないかと感じました。カンボジアの生花市場における1つ課題を発見することができました。
5.現地花屋視察
ローカルのフラワーマーケットの視察後、現地の花屋さんを見に行きました。現地の花屋さんでは切花は花束になった状態で販売していました。そして、フェイク(日本でいうアーティフィシャルフラワー)を多数取り扱っていて、店先には百数十種類はあろうかというアーティフィシャルフラワーがずらりと並んでいました。
アーティフィシャルフラワーの種類が豊富な理由は、入荷できる切花の種類が少なく、かつ常時気温が高く花のもちが悪いため、その代案として発達したのではないかと思います。
特に紫陽花や蘭系のアーティフィシャルフラワーは完成度が高く、一見本物と見分けがつかないほど、色や形が忠実に再現されていました。
前述したとおり、カンボジアの方々はとても手先が器用であるため、韓国風ラッピングのような、ラッピングペーパーを幾重にも重ねた華やかなラッピングが目をひきました。
花が目立つというよりゴージャスなラッピングが目に飛び込んてくるという印象でした。
アーティフィシャルフラワーにぬいぐるみを合わせてラッピングしたもの、お金をケーキの土台に見立てて花をあしらったものなど、工夫が凝らされていました。
来店する方もその日は男性率が高く、女性に花を贈るという文化が定着しているようでした。
実際日本では未だに男性が女性に日常的に花を贈るということは少なく、弊社も店舗来店率男女比は男性4:女性6となっています。
日常的に花を贈る習慣が根付いていることは、とても嬉しいことだと感じました。
さて、ここで私たちは、現地で切花とアーティフィシャルフラワー、花瓶を調達し、実際にデザインしてみることにしました。
会員制和食屋岳(YUE)さんのVIPルームをお借りして、こちらのお店の造作にふさわしい花を生けてみたのです。
今回購入した花材は、ホワイトロータス20本・デンファレ・ピンク20本・チューベローズ(実際にチューベローズかどうかは不明・香りが少なめでした)10本、グニーユーカリの枝物2本、アレカヤシ5枚程度、エアープランツ2種類(1種類はスパニッシュモス・もう1種類は不明)、そしてフェイクのファレノプシス(胡蝶蘭2種類)です。
そして、花瓶も現地の資材屋さんで調達しました。現地の資材屋さんは植栽用の鉢や花瓶がたくさん並んでおり、同じようなデザインがパターン違いで販売されていました。カンボジアの方々は人気のデザインのものをみなさん購入する傾向が強く、種類自体は多くありませんでした。大理石調のデザインが人気のようで、鉢や花瓶は白地にグレーやブラックのマーブル模様のデザインがたくさん並んでいましたね。
今回私は現地資材屋さんで波の模様のような柄入りのフラワーベースを選びました。
この花瓶をみた時、深いブルーの色と白い波模様が海をイメージさせ美しい花瓶だと感じました。
カンボジアと日本が海を越えて繋がっていく、その架け橋となりたいという思いからこちらの花瓶を選択しました。
花のデザインはカンボジアという国が力強く伸びやかに、そしてしなやかに発展していく様子を表現しました。そして、これからカンボジアの未来が道未知なる可能性とともに花開いていく様をイメージしデザインを作り込みました。
カンボジアのみなさんが大切にしている文化を尊重しながら、日本の物づくりの世界、フラワーアーティストが持つエッセンスを融合させ、両国において新しい世界を創造するという意味を込めました。
全てカンボジアで手に入れたものを、どれだけスタイリッシュにそしてモダンにデザインできるか、ここはアーティストやデザイナーの真髄と言えるのではないでしょうか?
現地の方々が当たり前のように、日常目にする花々に新しい価値を創造する。これが私たちアーティストやデザイナーの仕事なのです。
こちらが実際私たちが現地で生けた花です。いかがでしょうか?
皆様はどんな感想をお持ちになりますか?
6.カンボジア視察で感じたこと
アグネス社長をはじめ、池副社長、GCCジャパンスタッフの皆さん、現地スタッフの皆様のおかげで3年越しにカンボジアへの渡航が叶いました。
百聞は一見に如かずという言葉通り、今回の視察を通じて、カンボジアで何ができるか?そして私たちは何をしていきたいのか?改めて深く考察する機会を与えていただきました。
日本ではコロナ禍、閉鎖的な期間が約3年続きました。海外への渡航制限、日本国内での行動制限など、ある種の鎖国状態の中、同等の期間、諸外国においては大きな発展を遂げていたのです。
帰国した日のニュースでは、日本で65歳以上の人口割合が30パーセントを越えたと報道されました。労働人口の減少に歯止めがかからない日本が経済大国であるという認識は、世界的レベルでみると崩壊しつつあると言えるのではないでしょうか?
国際競争力を失いつつある日本が今世界に向けてできることは一体なんなのか…自分たちにとって当たり前のようになりつつある認識自体に疑問符を投げかける時がきているように思います。
弊社は2023年アジアから世界に挑戦していきます。
「千里の道も一歩から始まる」
今回与えていただいたチャンスを花開かせていくことができるよう精進するとともに、私たちが長年追い求めるもの…「世界中を美しく彩り、花や植物で人々を笑顔に」という企業理念を実現すべく、花を用いて日本とカンボジアの架け橋となれるよう素直に、謙虚に行動していきます。
私がビジネスをするうえで大切にしていることがあります。それは、先義後利を基本とし、お客様の喜びを熱意を持って追求するということです。
私たちの産業の根幹はお客様です。国を超えてもお客様を思う気持ちは常に私たちの現場にあります。
この言葉を胸に刻みながら、今できることを着実に確実に1つ1つ進めていくのです。
7.これからフローリストを目指す皆様へ
自分には何ができる?何がしたい?この質問をご自身に問いかけてみてください。答えは必ずご自身の中にあるものです。
一歩踏み出す勇気が持てたなら、自分の信じた道を素直に謙虚に進んでみてください。
そしてその道を選択したご自身を信頼し、一歩前に進み続けてください。
その先にはまだ見ぬ世界が広がっていますよ。
一緒に新しい世界を見に行ってみませんか?
現地の結婚式場の視察レポートやカンボジア不動産視察、トレンドスポットについては次のブログで書きますね。
それではまた次回のブログでお会いしましょう!