夏の猛暑日でもお花を楽しめるー夏こそ切花を飾ってほしい理由

関東地方では連日の猛暑日が続いておりますね!
夏になると、店頭では「この時期は暑いからお花はすぐ枯れてしまうでしょう?」、「7月8月はお花は控えようかしら…。」そんなお声をいただくことが増えます。
i-floristを営む私たちは、毎年この時期になると多くのお客様から同じご質問をいただきます。
確かに、夏は一年の中でも切り花にとって最も過酷な季節です。
気温は35℃を超える日も珍しくなく、湿度も高い日本の夏は、お花にとって決して優しい環境ではありません。
しかし、だからといって「夏は花を飾らない」という選択をしてしまうのは、とても残念なことのように感じます。実は、少しのコツを知るだけで、夏でも切り花は十分に美しく楽しむことができます。
そして何より、お花があるだけで暑い毎日の暮らしは驚くほど豊かになります。
暑さで疲れた心に彩りを与え、仕事から帰宅した瞬間にホッとする空間をつくり、家族との時間を優しく包み込んでくれるのです。食料品や医薬品のように、生活に欠かす事のできないものとは異なるかもしれません。しかしながら、花は人々の生活を豊かに、そして忙しい日常から少し離れて心を落ち着かせたり癒すという大きな魅力があるのです。
私たちは店頭でお客様と接する際に、夏場はお花を長持ちさせるちょっとした工夫をお伝えしております。店頭にご来店するお客様からは「今回買ったお花は思ったより長持ちしました。」、「毎日お花を見るのが楽しみになりました。」、「もっと早く切花を飾れば良かったです。」などといった嬉しいお声をたくさんいただいています。つまり、「夏だから花は楽しめない」というのは少し誤解なのです。正しい管理方法を知っているかどうか。その違いだけで、お花の寿命は大きく変わります。

1.なぜ夏はお花が傷みやすいのでしょうか?
2.花のある暮らしは、暑い夏だからこそ心を豊かにしてくれる
3.夏だからこそ楽しめる花もたくさんあります
3-1.「夏だから買わない」ではなく、「夏だから飾る」という新しい楽しみ方
4.お花の寿命は「家に帰るまで」で決まる?夏だからこそ知っておきたい切り花の正しい扱い方
① お花を購入したら、できるだけ寄り道をしないで帰宅する
② 家に着いたら、まずは新聞紙やラッピングを外しましょう
③ 茎を切り戻す「水切り」は長持ちの第一歩
④ 花瓶の水は「たっぷり」が良いとは限りません
⑤ 葉っぱは水につけない

⑥ 花瓶は毎回きれいに洗う
⑦ 飾る場所選びがお花の寿命を左右する
5.お花は「手がかかるもの」ではなく「少し気にかけるだけで応えてくれる存在」

1.なぜ夏はお花が傷みやすいのでしょうか?

夏になぜお花が傷みやすいのでしょうか?まずは理由を知っておきましょう。
人間でも真夏の炎天下の中、外を歩けば体力を消耗します。植物も同じことが起こります。
特に切り花は根がない状態なので、自ら水分を吸収する力が限られています。そこへ高温環境が加わることにより
・花びらから大量の水分が蒸発する
      ↓
・茎の中で雑菌が繁殖する
      ↓
・水が腐りやすくなる
      ↓
・吸水できなくなる
という悪循環が始まります。
つまり、お花が早く枯れる原因は「暑さそのもの」だけではなく、複合的な要因によると言えます。
実際には、水の汚れこれが一番の敵なのです。
花瓶の中は気温30℃を超えると細菌が急激に増殖します。細菌が茎の断面を塞いでしまうと、水が吸えなくなり、お花はまだ元気なのに突然しおれてしまいます。
この雑菌の繁殖を抑えるだけでも、お花は驚くほど長持ちするのです。

2.花のある暮らしは、暑い夏だからこそ心を豊かにしてくれる

暑い夏は外出するだけでも体力を使いますよね。エアコンの効いた室内で過ごす時間も自然と増えるのではないでしょうか?だからこそ、お部屋の中の景色はとても大切です。
テーブルに小さなブーケが一つあるだけで朝のコーヒータイムが少し特別になったり、家族との食卓が華やいだり、リモートワーク中の気分転換になったり、玄関を開けた瞬間に季節を感じることができます。
花は「贅沢品」ではありません。毎日の暮らしを豊かにしてくれる存在です。
実際、海外では週に一度お花を買う文化が根付いている国も多くあります。欧米に視察に伺うと、年齢性別を問わず、カジュアルにお花をもち歩く姿が見受けられます。
日本でも近年は、自宅用としてお花を購入される方が年々増えつつあるように感じます。
お花への認知が「誰かに贈るもの」ではなく、「自分のために買うもの」へと変化していますね。
「自分のためのお花や植物」という考え方が少しずつ広がってきています。

3.夏だからこそ楽しめる花もたくさんあります

「夏はお花が少ない」と思われがちですが、実はそんなことはありません。
夏には暑さに強く、美しく咲く花がたくさんあります。
例えば、
・ヒマワリ
・アンスリウム
・モカラ
・リンドウ
・トルコキキョウ
・クルクマ
・グロリオサ
・プロテア
・リューカデンドロン
などは夏らしい雰囲気を楽しめる人気のお花です。
最近では南国テイストのインテリアに合わせて、グリーンを多く使ったアレンジメントを選ばれる方も増えています。暑い季節だからこそ映える色合わせや、涼しさを演出する白やグリーンを基調としたブーケなど、夏ならではの楽しみ方は数え切れません。

3-1.「夏だから買わない」ではなく、「夏だから飾る」という新しい楽しみ方

お花は長く持たなければ価値がないというものではありません。
たとえ一週間でも、毎日目にするたびに気持ちが明るくなり、季節を感じ、暮らしに彩りを与えてくれる。その時間そのものがお花の価値とも言えるのです。そして、適切なお手入れをすれば、夏でも驚くほど美しい状態を保つことができます。
「夏だから花は諦めよう」ではなく、「夏だからこそ、涼しさや癒しを花で取り入れてみよう。」そんな新しい楽しみ方を、私たちi-floristは皆さまにご提案したいと考えています。
次の章では、ご購入いただいた大切なお花を少しでも長く美しく楽しむための基本テクニックを、初めてお花を飾る方にも分かりやすくご紹介します。

夏の花だからこそ表現できるトロピカル系アレンジメント。
お祝いのお花で個性やダイナミックさ、他人と被らないオンリーワンの魅了をお伝えします。
画像:夏の花材だからこそ表現できるトロピカル系アレンジメント。
お祝い花で個性やダイナミックさ、他の人と被らないオンリーワンの魅力が伝わります。

4.お花の寿命は「家に帰るまで」で決まる?夏だからこそ知っておきたい切り花の正しい扱い方

「せっかくお花を買ったのに、数日で元気がなくなってしまった…。」そんな経験をされたことはありませんか?
実は、切り花の寿命はお部屋に飾ってからではなく、お店を出た瞬間から始まっています。
特に真夏の猛暑日は、ほんの少しの違いが花持ちを大きく左右します。しかし、ご安心ください。
いくつかのポイントを意識するだけで、お花は驚くほど長く美しい姿を保ってくれます。
ここでは、お花屋さんが実践している方法を、ご家庭でも簡単に取り入れられる形でご紹介します。

夏のアスファルト路面は50℃以上になることもあります。車内に至っては、短時間で40~50℃を超えることも珍しくありません。切り花にとって、この環境はまるでサウナのようなものです。
人間が暑さで体力を奪われるように、お花も短時間で大量の水分を失ってしまいます。
そのため、お花を購入した後は、なるべく寄り道をせず、ご自宅へ持ち帰ることをおすすめします。「あと1時間だけ買い物を…」、「少しカフェで休憩してから…」何気ない時間の経過がお花の寿命を短くしてしまうこともあるのです。
もしも長時間の移動が必要な場合は、直射日光を避け、できるだけ涼しい場所で持ち運びましょう。
i-floristではお持ち歩きに適したゼリータイプの保水剤を使用しております。お気軽にお申し付けくださいませ。

花束は美しく見えるようにラッピングされていますが、そのまま飾ることはおすすめできません。
ラッピングの中は湿気がこもりやすく、夏場は蒸れの原因になります。
また、茎同士が密着した状態では風通しも悪くなり、傷みやすくなることがあります。
ご自宅に着いたら、まずはラッピングを優しく外し、お花が呼吸できる状態にしてあげましょう。
このひと手間だけでも、お花にとっては大きな違いになります。

お花を花瓶に入れる前には、必ず茎を切り戻しましょう。この作業を「水切り」といいます。水切りの方法はとても簡単です。ボウルやバケツに水を張り、その中で茎を1~2cmほど斜めにカットします。お水の中で切ることで、茎の中に空気が入りにくくなり、水をしっかり吸い上げることができます。
さらに、斜めに切ることで断面積が広くなり、吸水効率もアップします。この作業をするだけで、お花がぐんと元気を取り戻すことも珍しくありません。
特別な道具は必要ありませんので、ぜひ毎回行ってみてください。
時折、紙を切るハサミやキッチンハサミでお花や枝物を切る方がいらっしゃいますが、花専用のハサミを使用することをおススメしております。紙を切るハサミやキッチン用のハサミは刃の形状が異なり、お花や枝が水を吸い上げる管をつぶしてしまう原因となります。
できるだけお花専用のハサミを使用していただくとよいでしょう。

意外に思われるかもしれませんが、夏場は花瓶の水を入れすぎないことも大切です。水が多すぎると、茎が長時間水に浸かる部分が増え、細菌が繁殖しやすくなります。
特にバラやガーベラなどは、水に浸かる部分が多いと茎が傷みやすくなるため注意が必要です。
目安としては、茎の長さの3分の1程度まで水が入っていれば十分です。
一方で、アジサイやヒマワリなど、水をたくさん必要とする花は少し多めでも構いません。
花の種類によって適した水の量は異なりますので、購入時にお花屋さんに聞いてみるのもおすすめです。
i-floristでも、販売時にはお渡しするお花に合わせて管理方法をご案内しています。

花瓶にお花や枝物を生ける際には、水に浸かる位置の葉を取り除きましょう。葉が水に浸かると、そこから腐敗が始まり、水が一気に汚れてしまいます。
水が濁ると細菌が増え、お花が水を吸えなくなる原因になります。
「葉を少し取るだけで変わるの?」と思われるかもしれませんが、この小さなひと手間が花持ちを大きく左右します。プロのお花屋さんでも必ず行う基本のお手入れです。

意外と見落とされがちなのが、花瓶のお手入れです。前回使ったまま軽くすすいだだけでは、目に見えない細菌が残っていることがあります。
新しいお花を飾る前には、スポンジでしっかり洗い、ぬめりを落としてから使いましょう。
花瓶を洗う際には、食器用洗剤を使用していただくことが基本になります。花瓶の材質によっては食器洗い用洗剤やキッチン用洗剤だと劣化を起こすことがあります。材質をご確認のうえ使用してください。
清潔な花瓶は、お花にとって快適な住まいです。
毎日の水替えと合わせて花瓶も軽く洗う習慣をつけるだけで、お花の美しさはぐっと長続きします。

せっかくのお花ですから、一番目につく場所に飾りたいですよね。ですが、夏場は置き場所にも少し気を配ることが大切です。
おすすめなのは、

  • エアコンが効いた涼しいリビング
  • 直射日光の当たらない場所
  • 風通しの良いスペース
  • テレビや家電の熱が当たらない場所

逆に避けたいのは、

  • 西日が当たる窓辺
  • キッチンコンロの近く
  • ベランダ付近
  • エアコンの風が直接当たる場所

お花も人と同じように、「暑すぎず、乾燥しすぎない環境」が快適です。
ほんの少し場所を工夫するだけで、美しい状態をより長く楽しむことができます。

5.お花は「手がかかるもの」ではなく「少し気にかけるだけで応えてくれる存在」

「お花のお手入れは面倒だし難しそう…。」そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし今回ご紹介したポイントはどれも数分でできる簡単なことばかりです。
少しだけ気を配るだけでお花は毎日違った表情を見せ、暮らしに彩りと癒やしを届けてくれます。
「思っていたより長く楽しめた」、「また飾りたい」そんな嬉しい体験が、お花をもっと身近な存在にしてくれるはずです。

次回のブログでは、さらに花を長持ちさせるための毎日のお手入れ方法や、延命剤の効果、夏におすすめの花材ごとの管理方法について詳しくご紹介します。

夏の代名詞としても有名なヒマワリ。
i-floristではポピュラーなヒマワリもシックでオシャレな印象に仕上げます。
画像:夏の代名詞として有名なヒマワリ
i-floristではヒマワリもシックでオシャレな印象に仕上げます。